AI 可視性の月次レポート テンプレート:クライアントの経営者に見せる五つのセクションと伝え方
執筆:TriloAI 編集チーム公開:全面改訂:更新:
クライアントに渡す AI 可視性の月次レポートは、五つのセクションを固定すれば足ります。今月の 3 つの数字、プラットフォーム別の結果、取りこぼした質問、今月やったこと、来月の計画です。どの数字にも質問数と区間を添え、AI に言及されたことと引用されたことは分けて報告し、保証は一切書きません。経営者が毎月同じ場所で同じ数字を見られて、はじめて変化がわかります。
この記事は、中小企業や店舗の AI 可視性を支援する広告代理店、SEO 支援会社、SNS 運用代行会社に向けて書いています。テンプレートは特定のツールに依存しません。どのツールで計測しても使えます。GEO(日本では LLMO 対策・AIO 対策とも呼ばれます)のサービスをどう分け、どう値付けするかは、代理店が GEO を中小企業に売るにはをご覧ください。
月次レポートは五つのセクションに固定し、経営者が毎月同じ場所で答えを探せるようにします
| セクション | 載せるもの | 経営者向けの書き方(例文) |
|---|---|---|
| 今月の 3 つの数字 | 言及率(区間と有効回答数を添える)、自社ページが引用された回数、取りこぼした質問の数。質問が先月と同じときだけ前月比を載せる | 「今月は ○ 問を聞き、AI の回答を ○ 件集めました。御社に触れた回答は、おおよそ ○ 割から ○ 割のあいだです」 |
| プラットフォーム別 | プラットフォームごとの有効回答数、言及、推薦、自社ページが引用された回数 | 「ChatGPT は比較的よく御社に触れていますが、Perplexity は今月一度も触れていません」 |
| 取りこぼした質問 | 多くても 3 問。質問の原文、AI が推薦した相手、引用された URL、こちらに足りないもの | 「お客様が『○○ でおすすめはどこ?』と聞いたとき、AI は ○○ を推薦し、相手の料金ページを引用しました。こちらにはまだその種類のページがありません」 |
| 今月やったこと | 完了した項目、公開日、URL。終わらなかったものも事実どおりに書く | 「○ 月 ○ 日、サービスのページに価格の目安と営業時間を追加しました(URL)」 |
| 来月の計画 | 多くても 3 項目。それぞれ取りこぼした質問の 1 問に対応させ、誰がやるかを明記する | 「来月はよくある質問のページを直します。御社には、この 2 週間で最近のクチコミへの返信をお願いします」 |
3 列目は例文です。○ には、その月に実際に計測した数字や名前を入れます。計測していないものは書きません。
今月の 3 つの数字は言及率、引用された回数、取りこぼした質問の数にします
- 言及率:すべての回答のうち、クライアントのブランドに触れた回答の割合です。必ず区間と有効回答数を添えます。質問が少ないほど、区間は広がります(計算方法は可視性の算出方法)。
- 引用された回数:AI の回答に示された情報源の URL のうち、クライアント自身のページが何回出てきたかです。最初は 0 回のことも十分ありえます。当社も最初はそうでした。そのまま書けば、それがいちばんはっきりした出発点になります。
- 取りこぼした質問の数:AI が同業のブランドを推薦したのに、クライアントは推薦されなかった質問の数です。経営者がいちばん実感しやすく、翌月の作業にもつなげやすい数字です。
この三つを合わせて一つの総合点にはしません。総合点にすると、「AI が知っている」ことと「AI がページを根拠にしている」ことが混ざり、プラットフォーム間の差も見えなくなります。
プラットフォームによって結果が大きく違うので、必ず分けて載せます
ChatGPT、Gemini、Perplexity、Google の AI による概要、Claude の結果は、かなり違うことがよくあります。当社が 2026 年 8 月 17 日に行った計測では、同じブランドが Gemini では 7.9%、ChatGPT では 5.2%、Perplexity と Google の AI による概要ではどちらも 0% でした(実測)。合計だけを報告すると、経営者はどのプラットフォームも同じくらいだと思ってしまいます。プラットフォーム別のセクションは、この表に沿って埋めます。
| プラットフォーム | 有効回答 | 言及 | 推薦 | 自社ページの引用 |
|---|---|---|---|---|
| ChatGPT | ○ 件 | ○ 件 | ○ 件 | ○ 回 |
| Gemini | ○ 件 | ○ 件 | ○ 件 | ○ 回 |
| Perplexity | ○ 件 | ○ 件 | ○ 件 | ○ 回 |
| Google の AI による概要 | ○ 件 | ○ 件 | ○ 件 | ○ 回 |
| Claude | ○ 件 | ○ 件 | ○ 件 | ○ 回 |
Google と Bing には、添えられる公式の数字もあります。Search Console の生成 AI パフォーマンス レポートでは、AI による概要や AI モードなどの生成 AI 機能にサイトの URL が表示された回数(インプレッション数)がわかります。ページ、国、デバイス、日付ごとに見られ、2026 年 8 月 31 日には世界中のすべてのサイトで使えるようになりました(Google のお知らせ)。Bing Webmaster Tools の AI Performance レポートでわかるのは、サイトが出てきた grounding queries と、それぞれの検索語で引用されたページです。grounding queries は、AI が回答を作るときに情報を探すのに使った検索語のことです(Bing のお知らせ、英語)。ただ、どちらもそれぞれのプラットフォームしか対象にしておらず、見ているのはページです。ブランド名が語られたかどうかは見ていません。
言及と引用はビジネス上の意味が違うので、分けて報告します
言及は、AI が回答の中でクライアントの名前を挙げることです。引用は、AI がクライアントのページを情報源のリンクとして示すことです。前者は AI がクライアントを知っていることを、後者は AI がクライアントのページを回答の根拠にしていることを示します。
OpenAI のヘルプには、ウェブ検索を使った ChatGPT の回答には引用が含まれる「場合がある」こと、引用を選ぶと情報源が開くことが書かれています。検索結果や引用は不完全、古い、または誤っている場合がある、という注意もあります(OpenAI ヘルプ)。すべての回答に引用が付くわけではありません。引用があっても、ページを開いて、内容が本当にその回答を裏付けているかを確かめる必要があります。
当社自身の例を挙げます。2026 年 8 月 17 日の計測では、当社のブランドはときどき言及されていたものの、AI の引用元 39 件のうち自社ドメインは 0 回でした。レポートに沿って 4 項目を直したあと、ChatGPT がある質問への回答で当社のサービスページを実際に引用しました(自社事例)。月次レポートが言及率だけだったら、この変化はまったく見えなかったはずです。
AI の回答は毎回変わるので、経営者には一つの数字ではなく区間で伝えます
同じ質問を 2 回聞いても、AI の回答はまったく同じにはなりません。当社の実測では、同じブランド、同じ 14 問を 2026 年 9 月 27 日に 2 回聞いたところ、言及率は 31.5% と 41.7% でした(可視性の算出方法)。何も変えていないのに、数字は約 10 ポイント違いました。
理由は、プラットフォームの公式の説明からも読み取れます。OpenAI によると、ChatGPT は最新の情報が役立つ質問では自動的にウェブを検索することがあり、IP アドレスから推定したおおよその位置で地域の結果を探すこともあります。メモリが有効なら、保存済みメモリを使って検索クエリを書き換えることもあります(OpenAI ヘルプ)。Google も、AI モードと AI による概要では使うモデルや手法が異なる場合があり、表示される回答やリンクにも違いがあると書いています(Google の説明)。
経営者には、たとえばこう説明します。AI に聞くのは、時間を変えて別の店員さんに同じ質問をするようなもので、毎回少しずつ違う答えが返ってきます。だから 1 回の答えではなく、たくさんの回答を合わせてどの範囲に収まるかを見ます。月次レポートでは、区間が重ならない変化だけを本当の変化として扱い、区間が重なっていれば「先月とほぼ同じ」と書きます。
取りこぼした質問は翌月の作業リストとして書きます
月次レポートの中でいちばん行動につなげやすいのが、このセクションです。1 問ずつ同じ形式で書きます。
- 質問の原文:お客様が実際に使う言い方を、そのまま書きます。
- AI が推薦した相手:名前と順番を書きます。順番は毎回変わりうるので、「今回は何番目」と書きます。
- AI が引用した URL:ドメインだけで判断せず、実際のページを開いて確かめます。同じドメインの下に、性質がまったく違うページがあることもあります。
- こちらに足りないもの:競合のページにあって、クライアントのサイトにない事実です。たとえば価格の目安、対応地域、クチコミなど。
- 翌月やること:1 問に一つの作業を対応させ、代理店がやるのかクライアントがやるのかを明記します。
次の例文は経営者向けの月次レポートにそのまま使えます
- 「今月、AI が御社に触れた割合はおおよそ ○ 割から ○ 割で、先月の範囲と重なっているため横ばいと判断しています」
- 「AI は御社の名前を知っていますが、まだ御社のページを根拠にはしていません。次は、引用できるページを AI が見つけられるようにします」
- 「ChatGPT と Gemini は御社に触れていますが、Perplexity はまだです。プラットフォームごとに状況が違うので、別々に対応します」
- 「この質問ではお客様が価格を聞いていて、AI は競合を推薦しました。相手のサイトには価格の目安が書いてあり、こちらにはないためです」
- 「今月は数字が上がりましたが、区間はまだ先月と重なっています。来月も同じ質問で計測し、確かめられてから成果として扱います」
- 「今月、AI の回答の一つが御社のサービスページを直接引用しました。これまでにはなかったことです」
月次レポートには保証を書かず、計測した事実だけを書きます
Google はサイト運営者向けの説明で、Google で一番上に掲載されることは誰にも保証できないと明記しています(Google 検索セントラル)。しかも AI の回答は、検索順位以上に変わります。月次レポートでは、なおさら保証を書けません。
- 来月の言及率がいくつになるかは約束しません。
- 特定のプラットフォームが必ず推薦や引用をするとは約束しません。
- 「何週間で」「何か月で」効果が出るという予定表は出しません。
- 「AI で 1 位」とは書きません。回答の中の順番は毎回変わりうるので、書けるのは「今回は何番目」だけです。
- ツールが出す改善の見込みは、シナリオに基づく推定であって約束ではありません。レポートに載せるならそう明記し、明記できないなら載せません。
- 1 回の上昇を成果として書きません。区間が重なっているうちは、まだ確定していないからです。
納品前にこのチェックリストで確認します
- 質問は先月と同じセットか。質問が変わったなら、前月比は載せない。
- プラットフォームの組み合わせは同じか。今月欠けたプラットフォームがあればレポートに注記し、合計の数字を先月と比べない。
- 別名をすべて入れたか。英語名、略称、旧名、親会社名が漏れていると、AI が別の名前でクライアントに触れても言及なしと数えられる。
- 競合は同じカテゴリーか。競合として AI が挙げるものには種類の違う製品も混ざるので、経営者に説明するときは分けて話す。
- 引用された URL をすべて開き、ページの内容が本当にその回答を裏付けているかを確かめたか。
- どの数字にも質問数と区間を付けたか。例文の ○ をすべて今月の実際の数字に置き換えたか。
- レポートの言語とホワイトラベルの設定が正しいことを確かめてから、納品する。
よくある質問
経営者が「点数を一つだけ見たい」と言います。どうすればいいですか?
言及率の範囲に、ひと言の結論を添えて渡します。テンプレートの表の 1 行目の例文がそれです。ツールに総合スコアがあるなら、まず何を測っているのかを確かめます。サイトやブランド情報の整い具合が大半を占め、AI が実際に触れたかどうかはごく一部、というスコアもあるからです。当社の GEO スコアもそうで、7 つの指標のうち AI 可視性は 10% にすぎません(可視性の算出方法)。
今月は数字が下がりました。経営者にどう伝えればいいですか?
まず三つを確かめます。質問が同じセットか、プラットフォームが同じか、区間が重なっているか。質問やプラットフォームが違えば、比べられません。区間が重なっていれば「先月とほぼ同じ」と書きます。本当に下がったと判断するのは区間が重ならないときだけで、その場合はどのプラットフォームのどの質問が変わったか、AI が代わりに誰を推薦し、どんな新しい URL を引用したかを調べ、翌月の取りこぼした質問として書きます。
月次レポートはどのくらいの頻度で作るのがよいですか?
多くの中小企業では月 1 回で十分です。大事なのは、毎回同じ質問を使うことです。クライアントのサイトを直した直後で、AI が読んだかを確かめたいときは、数週間おいて追加で計測してもかまいません。毎週数字を報告すると、経営者が目にするのはほとんどがふつうの上下の揺れで、かえって判断しにくくなります。
Search Console や Bing の AI レポートがあれば、AI 可視性ツールは要りませんか?
完全には置き換えられません。見ているものが違うからです。Search Console は Google の AI 機能での自社 URL の表示回数を、Bing の AI Performance は Bing の AI の回答で自社ページが引用された状況を示します。どちらも自社のプラットフォームだけが対象で、見ているのはページです。一方、AI 可視性ツールが見るのは、ChatGPT や Gemini などの回答でブランドが語られたか、どの競合が推薦されたかです。月次レポートには両方を載せ、公式レポートはプラットフォーム別のセクションに裏付けとして添えるとよいでしょう。
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